隈研吾氏がデザイン監修!商店街の築52年の空き店舗をリノベーションしたカフェがオープン

おでかけ

屋根や外壁などの建物の外装工事を中心に、近年は板金の折鶴や壁掛けオブジェの製作販売事業を展開するウチノ板金が、”板金”を外壁に用いたカフェ「和國商店(わくにしょうてん)」を東京都東村山市の青葉商店街にオープン。

デザインは隈研吾建築都市設計事務所が監修し、岡庭建設の設計・施工で建築されました。

■ウチノ板金の工芸品ブランド”和國商店”

和國商店はもともと屋根や外壁などの板金を手掛ける東京都東村山市のウチノ板金の工芸品ブランド。板金の折鶴は海外のファンも多く、2022年からはフランス・ドイツの学校・大使館・公的機関で板金折鶴製作のワークショップも開催し、日本文化・折鶴の意味・板金技術を海外に伝える活動も行っています。

他にもフランス人作家とコラボレーションした板金製の壁掛けオブジェは海外のレストラン等からの注文もあり、建築板金の技術を用いた作品として人気です。

◾️世界的建築家×建築板金職人×地域工務店のコラボレーション

今回オープンしたカフェ和國商店は、新国立競技場など数多くの世界的建築を手掛けている隈研吾氏のデザインと、東京都東村山市のウチノ板金の建築板金の技術が掛け合わされ、「循環」をテーマにして生まれました。
設計・施工は、創業52年を迎えた東京都西東京市の岡庭建設が担当しています。

和國商店の独創的な外壁は、約700個の緑青銅板によって形成されています。
この緑青銅板は約60~100年前から広島県廿日市市の速谷神社の屋根で使用され、自然にできた緑青銅板を回収し、板金職人の加工技術によって形を変え、再利用したものです。
また、金属外装材メーカーのタニタハウジングウエア株式会社が独自開発した高速緑青生成技術を駆使した人工緑青銅板も使用し、自然緑青銅板と調和した特徴的なものになっています。

屋外に置かれる椅子は、旧国立競技場で使用されていた座面を再利用し隈研吾氏がデザイン。脚部分には人工緑青銅板を使用し、板金職人とのコラボレーションで完成しました。

店内の壁は板金職人が手加工した真鍮の作品を際立たせるよう黒漆喰で表現。キッチン、ランプシェード、シンク、巾木等、細部の板金は真鍮板で彩り、板金職人のものづくり精神と遊び心を忘れないデザインで施されています。

誰がみても「おしゃれでカッコイイ」このカフェが以前はたばこ屋さんだったというから驚き。
生まれ変わったお店は懐かしい木のぬくもりと斬新な板金技術が共存するユニークな空間で、訪れる人に新たな感覚をもたらします。

◾️提供されるコーヒーや什器も職人こだわりのもの

店舗で提供されるコーヒーは岡山県のキノシタショウテンの焙煎士が海外のコーヒー農園に直接出向き風土を感じ、生産者さんの想いも煎ったスペシャルティーコーヒー。
コーヒー職人こだわりの和國商店オリジナルブレンドコーヒーの豆の販売もされています。

それにはとどまらず、店内の椅子・テーブル・食器等、使用する什器も和國商店のコンセプトに共感した職人の手仕事品を採用。
隅々までとことんこだわりが詰まった美しい空間に、自身の感覚も研ぎ澄まされそうです。

和國商店は鉄道の駅から歩くには少々遠く、専用の駐車場もありません。(近隣にコインパーキングはあります)
それでも、建築や什器の美しさはもちろん、スイーツや軽食、コーヒー以外のドリンクの種類も豊富で、一度ならず何度でも足を運びたくなる魅力があります。

◾️願うのは商店街や地域の復興
和國商店が建つ青葉商店街は約60年前に開発されましたが、現在はシャッターを下ろした状態が目立っています。しかし、新型コロナウイルスの影響で様々な価値観が大きく変容し、各地で商店街という資源の価値も変わろうとしています。

このプロジェクトは、幼少期に青葉商店街で育ったウチノ板金代表の内野友和氏が、この商店街の文化を活用し、地域活性・空き家の利活用・建築廃材の再利用・職人不足・技術継承などの様々な問題を少しでも解決できないかと隈研吾氏に話を持ち掛けたところから始まりました。

ウチノ板金は、この和國商店がきっかけとなり、人と人が繋がり、連綿と受け継がれてきた、青葉商店街が新たな価値を生み出す場所になることを願っています。

和國商店のデザインを”世界の隈研吾氏”が快諾してくれたことを知ったとき、東村山市の市長は「のけ反るほどびっくりした」といいます。
一方そんな隈氏は、和國商店に、「和國商店は小さいけど凄いことになる」とメッセージを送っています。

オープンから1ヶ月と経たずすでにあちこちで注目を集めている和國商店。ここが新たなランドマークとなり、この地にまた以前の活気が戻る日もそう遠くないかもしれません。

・和國商店(カフェ)
営業時間:9:00~17:00
定休日:月曜日、火曜日
住所:東京都東村山市青葉町2-5-6
アクセス:西武鉄道 東村山駅東口からグリーンバス「青葉商店街中央」下車/JR武蔵野線 新秋津駅からグリーンバス「青葉商店街中央」下車

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